「黒川事務所に10年勤めた(高知)県出身者がいる」とプロポーザルに推薦してくれた方がいました。コンペを獲得し、古里で「ギャラリー コパ」を手がけることが出来ました。
建築ジャーナル2007年5月号です。
土佐和紙発祥の地、いの町に美術館を計画した。コンセプトは「天のめぐみをいただくさかづき」である。この立地条件は、地元の人が古くから敬ってやまない大国様の参道脇にあり、常設展示の俵は大国様がもってきたといわれている。
神の恵みをありがたくいただき、この地の文化的ポテンシャルが高まるようにと思って設計した。コンクリート打放しで円形という斬新なデザインを実現するために、各方面を説得してくださった、いの町の担当者尾崎氏に感謝したい。
高知は豊かな森林資源が息づく林業県です。森林面積84%は全国一。しかし、輸入木材に押されて、良質な木材が使用されにくくなりました。
高知事務所の開設が1999年。事情を肌で感じるとともに、東京と高知、双方に事務所をもつメリットを活かして、消費地と産地を結ぶ「土佐スギの家」を関東圏に設計してきました。
その中で群馬県大田市に建築された千葉邸は、思い出深い仕事のひとつです。
2003年、高知県内に木造住宅の裾野を広げてきた「木と人・出会い館」の登録建築士となりました。その相談事業で出会ったのが、千葉修元高知大学教授ご夫妻でした。ご主人は青森生まれ、奥様は高知、そしてご子息が東京在住。そうした事情から「退職後の住まいは関東」となりました。
また、都内の狭小な土地に見合った木造3階建ても、木の可能性を拡げたトライアルだったと考えています。